最善の努力

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世の中上手くいかない。
その中で少しでも良い結果を残したい。
勝ちたい。

そう思うのが人情でしょう。
勝ち組とか負け組とかいう言葉があります。

負けたら損
そんなことしたら損
損得感情で私たちは生きてます。
それも生きていく上での本能というか性(さが)なのでしょうか。


私がまだ大学生の頃、
よく飲みに行ってた店があります。
その店を切り盛りされていたのは、母親と同世代か少し上の人でした。
みんなから「おかあちゃん」と呼ばれ慕われていました。

店主は、そのおかあちゃんの旦那さんで、
「おとうちゃん」と呼ばれてました。

今、韓国と日本はもめてますが、
そのおとうちゃんは、朝鮮半島出身の人です。(帰化されていたかどうかは分かりません)
柔道の達人で、学生達に向かって、裏声っぽく「前田ぁ」とか言って呼び捨てです。
愛想は悪く、料理も上手ではないのですが、なんとも素朴な、側にいて安心感の持てる強い人だったと記憶しています。

おかあちゃんは、生粋の日本人です。
このおとうちゃんに惚れたんですね。
女の人は、強い男が好きなんだと思います。

おとうちゃんは日本語があまり上手ではないので、そんなに深い話はあまりした記憶はありませんが、おかあちゃんとはよく話をしました。

それも30年以上も前のことなので、詳細はほとんど覚えていませんが、
一つだけ、鮮明に覚えていることがあります。

おかあちゃんが、何か人生について語られていたように記憶してます。
それを聞いて、私は「そんなの損じゃないですか」と言いました。

その直後におかあちゃんが言われたのが、
「人生に損得はない」

その時は、なんとなく分かるような分からないような感じでした。

しかし、今は、それが正しいんだろうなと思います。
それでも、損得で生きようとしている自分はいます。



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来年は、いよいよ東京オリンピックですが、その前に今年は、
ラグビーワールドカップ東京大会が行われます。

私たちが高校生の時は、ちょっとしたラグビーブームでもありました。
スクール☆ウォーズとか、明治大学の北島監督なんかがクローズアップされました。
新日鉄釜石の7連覇の松尾雄治さんなどもそうでした。
その中でも、ひときわ輝いてたのは、当時同志社大学の平尾誠二(故人)さんです。

ラグビーブームとはいえ、当時の日本は世界のレベルとは程遠い実力でした。
それを世界に近づけたのは、平尾さんの功績が大です。

単に平尾さんは優れたプレイヤーだけではなく、卓越した指導者でした。
また指導者の話です。
でも、結局は指導者によって、そのチームや組織の力量が決まるのは、厳然たる事実です。

その平尾誠二さんで印象に残るのが、

「僕は、勝つとか、勝てとか、勝つぞという言葉は使わない」
「勝つとかは、神様が決めること」

という言葉です。

これは、勝てば得があり負ければ損してしまうというのとは、全く真逆の感性です。

おかあちゃんの言葉「人生に損得はない」に通じるように思います。

人生における全ては、結局は神の采配なのであり、勝ったや負けたは、人間の単なる思い込みに過ぎないようにも思います。


何れにしても結果を残す人は、こういうような感性を持たれているようです。


もう一つ、平尾さんはこのようにも言われてました。


ある選手が、何かおかしなプレイをしたら、
「あいつ、何やってんだ」と思うかもしれないけど、

それは一見、変なプレイかもしれないけど、
そのプレーヤーは、何かの意図を持ってそのプレイを行なったことには違いない。
だから、そのプレイを批判的に見るのではなく、チームとしてそのプレイを全力でフォローする動きを全員でしなくてはならない。

これは、究極のチームワークですね。

何かおかしな動きがあれば、試合後に反省すれば良いでしょう。
しかし、プレイ中は反省などしている暇はありません。
そんなことに気をとられている暇があれば、そのプレイを全力で他の選手がフォローするのが正解だと言われてるのでしょう。
まさに今、この時に生きているという考え方です。

例えば、将棋なり囲碁の世界では、定石なるものがあります。
それぞれのスポーツにも定石はあるでしょう。


定石に反した動きをしたら、監督やコーチから叱責を受けます。
しかし、平尾さんはそれを超えたものを目指していたように思います。


ラグビーには天候の具合もあるし、ボールのバウンドの具合もある。
我々だけでは全てを決められない。
だから、最善の努力をすること。

これしか人間にはできないということでしょう。

人を批判する前に、私たちは自分なりの最善の努力をするべきなのでしょう。
それにより損得感情から離れることができて、
チームなり個人のパフォーマンスは最大限になるということでしょうか。


この話をお聞きになって、
ご自身の仕事ぶりをもう一度点検されてみてはいかがでしょう。


男は強い男に憧れ、女は強い男に惹かれる。

平尾さんは、3年前に53歳で逝去されました。
今の私と同じ歳です…

やはり、まだまだですね。

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